C-b-a リュシーは笑う。
アタシはリュシーを見た。
リュシーって、綺麗な顔してるなぁ…
ルディ
「!!!」
色っぽい目つき。
初めての感触だった。
柔らかくて甘い香り。
初めての…
ルディ
「はぇ!?!? ひぇ!?!?!?」
リュシー
「チューくらいしたことあるだろ」
ルディ
「あるわけないだろおおおおおお…!!!!」
暴れるアタシをリュシーがやんわりと押さえ込む。
再び押し倒される体勢になるアタシに、リュシーはケラケラと笑っていた。
リュシー
「ん〜。ルディの初めて、もらっちゃったなぁ〜。これはアタシが責任を取らないとなぁ〜」
ルディ
「き、キスくらいで責任って…!!」
リュシー
「くらい、とか言っちゃうの? じゃあもっと責任の重いことでも…」
ルディ
「するなってえええええ!!!」
リュシー
「はいはい。じゃあ今日はこの辺にしとこうかな。でも」
リュシーはニヤリと笑う。
リュシー
「結婚したら、逃げられないぞ」
その言葉に、胸の奥がキュンとした。
+++++
数年後。
浅瀬の階の海の中。
リュシー
「ルディ〜。おはようのチューは〜?」
ルディ
「も、もう! 朝からそんな!」
リュシー
「別にいいじゃん、ただのチューだし」
ルディ
「リュシーのは『ただの』じゃないもん…////」
アタシとリュシーは結婚して、人魚になって海で暮らしていた。
リュシーは笑う。
リュシー
「そういえばガキの頃に聞いたことあったなぁ。チューしたら赤ちゃんできちゃうって迷信」
ルディ
「あ、それ、アタシも聞いたことある」
リュシー
「じゃあ、ルディに赤ちゃんができちゃうまでチューしちゃうか」
ルディ
「なんでそうなる!! っていうか、アタシが産むのかよ!」
リュシー
「産んでくれないの?」
ルディ
「…まぁ、リュシーの子供なら」
もごもごするアタシの顎を、リュシーが引いた。
リュシー
「ルディ、赤ちゃんができちゃうまで…ね?」
顔を真っ赤にするアタシは小さく呟いた。
ルディ
「うん…////」
END【幸せなキス】