B-b-c 忘れるもんか。
「うん、する…」
ギルバート
「ルディ…」
ルディ
「花流しってさ…恋が成就するって言われてるんでしょ…? アタシ、ギルバートのこと、諦め切れない」
アタシは恋花を取り出して、ギルバートに差し出す。
ルディ
「ギルバート…アタシ、ギルバートのこと、好き…!!」
ギルバート
「……」
ギルバートも、懐から恋花を取り出した。
ギルバート
「もし、ルディが大人になっても、私のことが忘れられなかったら、その時はもう一度、私に会いにおいで」
ルディ
「ギルバートも、アタシのこと忘れるなよ! 絶対、大人になったら、もう一度ギルバートに会いに来るから!!」
ギルバート
「分かった。忘れないでおこう」
アタシとギルバートは恋花を交換した。
白い花はみるみる、紅く染まって、輝き出した。
ルディ
「綺麗…」
ギルバート
「あぁ、本当に」
紅い恋花を海に流す。
夕暮れ時からいつのまにか日が落ちて夜に代わり、辺り一面は沢山の恋花が紅く光る幻想的な光景が広がった。
その景色を、アタシはギルバートと見ていた。
この景色を、ずっと忘れない。
忘れるもんか。
×××××
数年後。
浅瀬の階の海の中で、結婚式が開かれた。
ギルバートの結婚式だった。
ルディ
「信じられない」
ギルバート
「それは私の方だよ」
白いウエディングドレスを着た、人魚のアタシは、隣にいるギルバートを見る。

ルディ
「あの時の約束、覚えててくれたんだ」
ギルバート
「忘れられるわけないだろう?」
ルディ
「ギルバート…!」
涙が溢れる。
ギルバート
「これからは、ずっと一緒だ」
ルディ
「うん…!!」
アタシは、ギルバートと生涯の愛を誓うのだった。
END
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