雨屋敷 〜それぞれの趣向〜
それは3時のおやつの時だった
レナード
「俺のプリン誰か食った!? 冷蔵庫に無いんだけど!?」

【レナード】
雨の神に使える四天王の1人。17歳。
セシル
「えぇ? プリン食べるのレナード君くらいだし、僕はさっきドーナツ食べたばっかりだから食べてないよ?」

【セシル】
雨の神に使える四天王の1人。13歳。
クレイヴ
「僕のおやつは甘納豆だから、僕も食べてないねぇ」

【クレイヴ】
雨の神に使える四天王の1人。ナンパ癖がある。19歳。
ルース
「僕はゼリー派なので、食べてません」

【ルース】
雨の神に使える四天王の1人。18歳。
カンネ
「ルースさん、ゼリー派なんですね。私はヨーグルト派です。あ、プリンは食べてないですよ」

【カンネ】
雨の神と融合して、アルシデに雨を降らせる人型の装置。27歳。
ハミル
「私も食べてないな。ちなみに私はようかんが好きだ」

【ハミル】
27歳。アルシデに雨を降らせることが仕事の、雨の神と呼ばれる魔法使い。
レナード
「何気に全員のおやつの趣向が分かったとこで…じゃあ一体誰が食べたんだ?」
セシルがクスクス笑う。
セシル
「もしかして、レナード君。食べたこと忘れてるんじゃない?」
レナード
「まさか! さすがにそこまでボケてないって! っていうか、皿ごと消えてるのは、どう説明するんだよ?」
ルース
「それもそうですね。まるで誰かが持ち出したよう…」
クレイヴ
「え? それって、屋敷内に僕ら以外の誰かがいるってこと?」
カンネ
「ちょっと怖いですね」
ハミル
「ウチは日中玄関に鍵をかける習慣がないからな。ありえる話だ」
ルース
「ありえちゃダメでしょうに…」
ルースが言った時だった
???
「考察タイムは終わったか?」
レナード
「その声は…!」
6人が声のする方を向けば、そこには、赤い髪に黒い角と翼と尻尾を持った女の子が立っていた。
雨組
「ルディ!!」

【ルディ】
小悪魔。14歳。
全員が口をそろえる。
ルディと呼ばれた女の子の手にはプリンの乗った皿があった。
得意げに鼻で笑うルディ。
ルース
「あの小悪魔…またウチの屋敷で悪さして…」
クレイヴ
「それも、しょーもない悪さ…」
セシル
「小悪魔って暇なのかな…」
カンネ
「かまってほしいんでしょうか…」
ハミル
「悪事を働くのが仕事とはいえ…もうお馴染み過ぎて、近所の子が遊びに来たように思えるな…」
ルディ
「おい! アタシが悪事を働いてるってのに、なんだその残念そうな反応は! もっと盛り上がれよ!」
クレイヴ
「盛り上がれって…」
呆れつつ困惑する周囲。
だがレナードは違った。ルディを指差す。
レナード
「ルディ! お前、よくも俺のプリンを!! 返しやがれ!」
ルディ
「そうそう、そういう反応だよ! ふふん! 返してほしければ、アタシと勝負するんだな!」
レナード
「望むところだぜ! お前を倒して、プリンを返してもらうからな!」
ルディ
「はっはっは! やれるもんなら、やってみな!」
2人で盛り上がる様子を、冷静に見ている5人。
カンネ
「レナードさんって、良い人ですね」
ハミル
「ちゃんとルディに付き合ってやるからな」
ルース
「僕だったらおやつをあげて、さっさと帰らせますね」
セシル
「ルディちゃん、レナード君が相手してくれてよかったね!」
クレイヴ
「勝負なら庭が空いてるよ〜」
ルディ
「…なんでお前ら微妙になごんでるんだよ……まぁいい!! レナード! 表出ろ! 勝負だ!」
レナード
「いいぜ! 絶対俺が勝つけどな!」
ルディは机の上にプリンを置き、レナードと一緒に庭に出て行った。
机の上のプリンを眺める5人。
ルース
「…あの、人質というか、物質(ものじち)というか…プリン、ここに置きますかね?」
クレイヴ
「小悪魔ってアホなのかなぁ。それとも単にルディちゃんがアホなのか…」
セシル
「というか、ここまでくると、レナード君も…」
カンネ
「それ以上はいけません…」
ハミル
「とりあえず、勝負が終わるまで、プリンは冷蔵庫にしまっておこう」
数分後。
勝負は、ルディが途中で逃げるという形で幕を閉じた。
レナードは無事、プリンを取り戻し、おやつを食べたのであった。