B-b-b 潮風に吹き消された。
ルディ
「ううん、やめとく」
ギルバート
「…それもそうだな」
潮風が吹き抜ける。
ルース
「おや、2人とも、ここにいたのですか」
ルディ
「! ルース! なんでここに!」
ルース
「警察に通報した後、街を観光してましてね。最後に花流しの景色でも見てこうと思って立ち寄りました」
ギルバート
「ルース君」
不意に、ギルバートはルースに歩み寄る。
ギルバート
「私と、花流しをしないか?」
ルース
「え?」
ルディ
「へ?」
呆気にとられるアタシ。
ギルバートは続ける。
ギルバート
「実は前から…私はルース君のことが好きだったんだ」
ルース
「ギルバート様…」
ギルバート
「君が無性愛者なのは知っている。それでも…君を諦められない」
ルース
「…実は、言わなければいけないことがあるんです」
ルースはためらいながら言う。
ルース
「僕は、未来人なんです」
ギルバート
「!」
ルディ
「えぇ…?」
どういうことだ。
ルースは続ける。
ルース
「僕は、ギルバート様と、リュシーの子供なんです」
ギルバート
「な、なんだって…!?」
ルース
「この花流しのイベントで、ギルバート様とリュシーが結ばれなかったら、僕は消えてしまう…なので、ギルバート様。リュシーと…母と、結婚してください。でないと、未来が変わってしまう…!!」
そこまで言って、ルースは突然消えてしまった。
ギルバート
「ま、まさか!未来が変わった!?」
ルディ
「………」
ギルバート
「リュシー! リュシーはどこにいるんだ!」
ギルバートはリュシーを探しに、どこかへ行ってしまった。
ルディ
「………」
アタシは1人、海辺に取り残された。
砂浜に体育座りして、海を眺める。
ルディ
「はぁ〜〜〜〜〜…」
アタシのクソデカため息は、潮風に吹き消された。
END【ひとりぼっちで蚊帳の外】